をも恨まず、そして火刑台に上がって、炎が立ちのぼってきた時でさえ、自分のことを考えず、力をつけてくれてる修道士のことのみ考えて、彼を強《し》いて逃げさしたのであった。彼女は「最も激しい争闘中にも温和であり、悪人の間にあっても善良であり、戦いの最中にも平静であった。悪魔の勝利たる戦争に、彼女は神の精神をもたらした。」
そしてクリストフは、自分自身を省《かえり》みながら考えた。
「俺《おれ》は戦いに神の精神を十分もたらさなかった。」
彼はジャンヌの福音史家の美しい言葉を読み返した。
「人々の邪悪さと運命の酷薄さとの間にありながら、善良でありいつまでも善良であること……多くの苦々《にがにが》しい諍《あらそ》いのうちにも温和と親切とを失わず、その内心の宝に触れさせずに経験を通り越すこと……。」
そして彼はみずからくり返した。
「俺は悪かった。俺は善良ではなかった。親切を欠いていた。あまりに厳酷だった。――許してくれ。僕が攻撃してる諸君よ、僕を諸君の敵だと考えてくれるな。僕は善を、諸君にもなしたいのだ……。それでもなお、諸君が悪をなすのを防がねばならないのだ……。」
そして彼は聖者でなか
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