もなかった。他の召使たちを野卑で不品行だと軽蔑《けいべつ》しがちだったので、それといっしょに話をすることもなかった。遊びにも行かなかった。彼女は生来|真面目《まじめ》で倹約だった。悪い交際を恐れていた。台所か居間かにすわりきりだった。居間からは煙筒《えんとう》越しに、病院の庭の木の梢《こずえ》が見えた。書物を読むでもなく、働こうとばかりした。頭がぼんやりし、退屈し、退屈のあまりに涙を流した。やたらに泣くという独特の才能をもっていた。泣くのが楽しみだった。しかしあまりに退屈すると、もう泣くこともできなかった。生き心地も失って凍えきったようになった。次にははっと元気を振るい起こすか、自然に元気がよみがえってくるかした。妹のことを考えたり、柄《ハンドル》オルガンの遠い音を聞いたり、夢想にふけったり、あるいは、これこれの仕事を仕上げるには、これだけの金を儲《もう》けるには、幾日くらいかかるかと長い間勘定した。その勘定を間違えてはまたやり直した。よく眠った。日々が過ぎていった……。
 それらのひどい意気消沈の合い間合い間には、子供らしい嘲笑《ちょうしょう》的な快活さが起こってきた。他人をあざけり
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