い露《あら》わな、頬《ほお》の上部と|顳※[#「需+頁」、第3水準1−94−6]《こめかみ》、短い鼻、穏やかな頑固《がんこ》な眼つきをしてる、うす青い眼、引きしまってる太い唇《くちびる》、貧血した顔色、卑下し遠慮し多少堅くなってる様子だった。彼女はてきぱきした黙々たる心尽くしで、クリストフの世話をしながらも、親しみは少しも見せず、階級の違いを忘れない召使の控え目さを、決して越えることがなかった。
 それでも、彼が快方に向かって話ができるほどになると、彼の親切な善良さのために、シドニーは次第に多少自由に口をきくようになった。しかしいつも気をつけていた。言うのを控えている事柄があった(それが様子でわかった)。彼女は卑下と矜持《きょうじ》との交り合った性格だった。クリストフは彼女がブルターニュ生まれであることを知った。故郷に父親がいるのだが、その父親のことを彼女はごく慎み深く話した。しかし、その父親は酒飲みで、さんざん遊び暮らし、娘に迷惑ばかりかけてることは、クリストフもたやすく推察し得た。彼女は搾《しぼ》り取られながら、気位《きぐらい》を高くもって一言も文句を言わなかった。そして欠かさず月
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