ょう》的な愛情を示して、グラチアを自分のマントの中に入れてやろうとした。数週間前だったら、なつかしい従姉《いとこ》の胸に寄りすがるのは、グラチアにとってえも言えぬうれしさであるはずだったが、その時グラチアは、冷やかに遠のいた。それからまた、グラチアがひいてる楽曲を面白くないものだと思う由を、コレットが言ってきかしても、グラチアはやはりそれをひきつづけて、それを好んでいた。
 彼女はもはや、クリストフにしか注意を向けてはいなかった。彼女は愛情から来る洞察力《どうさつりょく》をもっていて、彼が苦しんでる事柄を推測していた。そしてそれを不安な子どもらしい注意のためにたいへん誇張していた。クリストフがコレットにたいして気むずかしい友情をしかもっていない時にでも、クリストフは恋してるのだと彼女は信じた。彼は不幸であると彼女は考えた。そして彼女は彼のために不幸であった。この憐《あわ》れな少女は、その心尽くしの報いをほとんど受けなかった。コレットがクリストフを腹だたせると、彼女はその償いをしなければならなかった。彼は不機嫌《ふきげん》になって、演奏の誤りを短気に指摘しながら、小さな弟子《でし》に向か
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