さした。クリストフの小言《こごと》を受けて不機嫌になってる歌手をなだめるため、彼は急いでそのそばに行って、重苦しい冗談を盛んに言いかけた。その取りなしを見ていたクリストフは、我慢しかねた様子を押し隠しもしないで、無理に座主をこちらへ来さして、そして言った。
「議論の余地はありません。私はあの婦人がきらいです。実に不愉快です。しかし選んだのは私ではありません。いいように都合をつけていただきたいものです。」
座主は困った様子で下を向いて、気がなさそうな調子で言った。
「私にはどうにもできません。ルーサン氏へ話してください。」
「なんでルーサン氏に関係があるんです?」とクリストフは尋ねた。「私はこんなことで氏にめんどうをかけたくありません。」
「なにめんどうな訳があるものか。」とシルヴァン・コーンは皮肉らしく言った。
そして彼は、ちょうどはいって来たルーサンの方を指《ゆび》さした。
クリストフはその前に行った。ルーサンはすこぶる上|機嫌《きげん》で大声をたてた。
「どうしました、もう済んだのですか。僕も少し聞きたかったですね。ところで、君の御意見はどうです。満足ですか。」
「万事好都合
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