の懸賞品たるべきはずだった。
 彼女は二人の友を平等にあやなしていた。クリストフの道徳的優秀さと才能とを味わっていたが、またリュシアン・レヴィー・クールの面白い不道徳性と機知とをも味わっていた。そして内心では、後者の方により多くの楽しみを見出していた。クリストフは彼女に少しも叱責《しっせき》を控えなかった。彼女は殊勝げにしおらしくそれを聴いた。それで彼の心も和らいだ。彼女はかなり善良であったが、心弱さと温良そのものとのために本気でなかった。半ば狂言をやっていた。クリストフと同じように考えてるふうを装《よそお》っていた。実は彼のような友人の価値をよく知ってはいた。しかし友情のためになんらかの犠牲を払うのを欲しなかった。何物にたいしてもまただれにたいしても、なんらの犠牲をも払いたくなかった。自分に最も便利で最も快いことを欲していた。それで彼女は、リュシアン・レヴィー・クールをいつも迎えてることをクリストフに隠した。友だちを皆引き止めてその皆を満足させるの技倆《ぎりょう》をもっていなければならない者に必要な一種の技術に、子どもの時から馴《な》らされてる社交|裡《り》の若い女性特有の、みごとな
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