ピアノの稽古《けいこ》よりも話の方がずっと面白かったので、あらゆる口実を捜しては話をしようとした。クリストフは、思ってることを言えば不快を与える恐れがあるという口実で、話をすまいとしたが駄目《だめ》だった。彼女はいつでも彼に思ってることを言わしてしまった。そしてそれがひどいことであればあるほど、ますます彼女は腹をたてなかった。彼女にとっては一つの娯楽だった。しかしこの機敏な小娘は、クリストフが誠実を最も愛してることを感じていたので、勇ましく言いさからって、頑固《がんこ》に議論をした。そして二人はいつも仲よく別れた。

 けれどももしそのままでいったら、クリストフはかかる客間的な友誼《ゆうぎ》になんらの幻をもかけなかったろうし、少しの親交も二人の間には生じなかったろう。ところがある日コレットは、誘惑したい本能と不意の出来心とで、彼にいろんなことをうち明けた。
 前日、彼女の両親は自宅で招待会を催した。彼女は狂人のように笑いしゃべりふざけた。しかし翌朝になって、クリストフが稽古を授けに来た時には、彼女はがっかりして、顔だちにはしまりがなく、顔色は曇り、不機嫌《ふきげん》だった。ろくに口もき
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