……では、なんだとおっしゃるの?」
「御自分でよくわかってるでしょう。失礼に当たるから私の口からは言いますまい。」
「そんならなおおっしゃらなけりゃいけません。」
「言ってもらいたいんですか。……お気の毒さま!……いったいあなたは、ピアノを相手に何をしてるのか自分で知っていますか。……あなたはふざけてるんです。」
「まあ!」
「そうですとも。あなたはピアノにこう言っています、ピアノさん、ピアノさん、優しい言葉を聞かしてちょうだい、もっとよ、私をかわいがってちょうだい、ちょっとキスしてちょうだいよ!」
「もうたくさんよ!」とコレットは半ば笑い半ば怒《おこ》って言った。「あなたには人を尊敬する念が少しもないのね。」
「少しもありませんよ。」
「横柄《おうへい》な方ね。……それに第一もしそうだったとしても、それこそほんとうに音楽を愛する仕方ではありませんか。」
「ああ、お願いだから、音楽とそんなこととを混同しないでください。」
「でもそれが音楽ですわ。美しい和音は接吻《せっぷん》と同じですもの。」
「そんなことをあなたに教えた覚えはありません。」
「でもほんとにそうじゃありませんか……。なぜ
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