シルヴァン・コーンは冷笑した。
彼は公衆一般の柔惰にいかにも意を安んじ満足してる様子だったので、クリストフは彼をながめながら、この男は自分よりはるかにフランスにたいして門外漢だなと、にわかに感じた。
「こんなはずではない。」と彼は、通俗な劇場から嫌《いや》になって出てきた晩と同じように、ふたたび言った。
「他に何かあるはずだ。」
「このうえ何がほしいんだ?」とコーンは尋ねた。
クリストフは執拗《しつよう》にくり返した。
「フランスさ。」
「フランスとは、われわれのことだよ。」とシルヴァン・コーンは笑い出しながら言った。
クリストフはちょっと彼を見つめ、それから首を振って、またくり返した。
「他に何かある。」
「じゃあ捜してみるがいい。」とシルヴァン・コーンはますます笑いながら言った。
クリストフは捜しあてることができた。まさしく彼らは他のものを隠しもっていた。
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二
パリーの芸術が発酵してる思想の醸造|桶《おけ》を、クリストフは次第にはっきりとのぞき込むにつけ、一つの強い印象を受けた。それは、この世界一家的な社会における婦人の最上権であった。婦
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