空想的な馬鹿げた恋で身を焦がしてるある傀儡《かいらい》を、示さんがためであった――あるいは、恋人に愛されないからといって、わざわざ死地に身をさらしてる国王アンリー四世を、示さんがためであった。
 かくてその薄野呂《うすのろ》な人々は、国王や英雄らの室内劇をやっていた。キロス大王[#「キロス大王」に傍点]の時代の有名な馬鹿者ども、理想的なガスコン人ども――スキュデリーやラ・カルプルネード――のふさわしい後裔《こうえい》であり、真の英雄主義の敵たる、あり得べからざる虚偽の英雄主義の謳歌《おうか》者であった……。フランスは慧敏《けいびん》だと自称してるくせに、滑稽《こっけい》にたいしては少しも感じがないということを、クリストフは見て取って驚いた。
 何よりもいけないのは、宗教が流行してる時だった。当時、四旬節祭の間、俳優らがゲーテ座で、オルガンの伴奏につれて、ボシュエの説教を読んでいた。イスラエル式の作者らが、イスラエル式の女優のために、聖テレザに関する悲劇を書いていた。ボディニエール座では十字架への途[#「十字架への途」に傍点]が演ぜられ、アンビギュ座では幼きキリスト[#「幼きキリスト」に
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