然の力が感ぜられることはかつてなかった。彼らはすべてを世間風になした、恋愛も苦悶《くもん》も死をも。また音楽におけると同じように――フランスにおいてはまだ年若い比較的|素朴《そぼく》な芸術である音楽におけるよりも、さらにはなはだしく――彼らは「すでに言われたこと」にたいして恐怖をいだいていた。最も天分に富んだ詩人らは、逆の道を取ろうと冷静に努めていた。その方法は簡単だった。伝説か童謡かを選んで、それらに本来の意味と正反対なことを語らした。かくて、青髭《あおひげ》はその妻たちから打たれ、ポリフェモスはみずから善意をもって眼をえぐって、アシスとガラテアとの幸福のために身を犠牲にした。すべてそれらのもののうちには、形式以外にはなんらの真面目《まじめ》さもなかった。クリストフ(彼はよく理解してない批判者であったろうけれど)の眼から見れば、それら形式の大家らは、おのれの文体を創造して縦横に描写する大作家というよりも、むしろ小作家であり模造大家であるように思われた。
彼らの勇武劇の中には、詩的虚偽がこの上もなく横柄《おうへい》に現われていた。彼らは英雄というものについて、滑稽《こっけい》な観念を
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