それは痛ましいまた奇怪な光景であった。
クリストフは、そういうあさましい職業の内幕に通じていなかった。もし通じていても、そのために大目に見てやりはしなかったであろう。なぜなら彼から見れば、銀三十枚のために芸術を売る芸術家ほど、世に許しがたいものはなかったから……。
――愛する人々の生活を確かにしてやるためにでも、いけないのか。
――いけない。
――それは人情がないというものだ。
――人情があることが問題じゃない。一個の人間たることが問題なのだ。……人情だって!……毛色の変わった君らの人情こそ、憐《あわ》れなものだ。……人は同時に多くのものを愛するものではない、多くの神に仕えるものではない!……
クリストフは、勤労な生活をしているうち、自分の小さなドイツの町の地平線から、ほとんど外に出たことがなかったので、パリーに展開されてる芸術上の腐敗は、ほとんどすべての大都会に共通のものであるということを、気づき得なかったのである。そして、「ラテンの不道徳」にたいする「貞節なるドイツ」の遺伝的偏見が、彼のうちに目覚《めざ》めていた。それでもシルヴァン・コーンはシュプレー河畔に起こっている
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