ずから怪しんでいた。ところがついに了解した。老人は苦情を述べつくしたあとで、他の問題に移っていった。自分の所でできるもの、野菜や飼い鳥や卵や牛乳などを、上等だと自慢した。そしてだしぬけに、官邸を顧客《とくい》にしてもらえまいかと尋ねた。クリストフははっとした。
――どうして知ってるのかしら?……俺《おれ》のことを知ってるのかな。
――そうだとも、と老人は言っていた、なんでも知れるものさ……。
だが次のことは口にしなかった。
――……自分で骨折って調べる時には。
クリストフは意地悪い喜びを感じながら、「なんでも知れる」にもかかわらず、自分があの小宮廷と仲|違《たが》いをしたこと、昔は官邸の大膳《だいぜん》局や厨房《ちゅうぼう》に信用を得ているとの自惚《うぬぼ》れがあったにしろ――(それをも実は疑っていた)――その信用も今では没落してしまってること、などは知られてやすまいと教えてやった。老人はかすかに口元をしかめた。それでも落胆はしなかった。ちょっと間をおいてから、せめて某々の家庭に紹介してもらえまいかと尋ねた。そしてクリストフが関係のある家庭を皆列挙した。市場で正確に聞きただし
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