をそむけた。
「明日《あした》、」と彼は言った、「明日、申しましょう……。私をこのままにしておいてください、お願いですから!……」
 彼女はすなおに立ち上って、自分の室へもどった。
 翌朝になると彼女は、狂人のように真夜中に絶望の発作に襲われたことが、恥ずかしくなった。そして息子がなんと言うだろうかとびくびくしていた。彼女は室の隅《すみ》にすわって待っていた。編み物を取ってそれに心を向けようとしたが、手が思うままにならないで取り落してしまった。クリストフがはいって来た。二人はたがいに顔を見合わせないで、小声で挨拶《あいさつ》をした。彼は陰鬱《いんうつ》な様子で、窓の前に立ち、母へ背中を向けて、黙り込んだ。彼のうちには闘《たたか》いがあった。前もってその結果はわかりすぎていたが、それを延ばそうとつとめていた。ルイザは彼に言葉をかけかね、待ちまた恐れている返辞を促しかねた。彼女はまた強《し》いて編み物を取り上げた。しかし何をしてるのか夢中だった。編み目はゆがんでいった。外には雨が降っていた。長い沈黙のあとに、クリストフは彼女のそばに来た。彼女は身動きもしなかったが、胸は動悸《どうき》してい
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