。――クリストフは自分の感情を言明せずにはおられなかった。芸術上の拝物教を嘲笑《ちょうしょう》した。もはやいかなる種類の偶像も不用であり、いかなる種類の古典も不用であると公言した。ワグナーの精神の後継者だと自称し得る者はだれかと言えば、それはただ、常に前方をながめて決して後ろをふり返ることなく、ワグナーをも足下に踏みしいて直進し得る者――死ぬべきものを死なしめ、生命との熱烈な交渉を維持する、という勇気をもってる者、のみであると公言した。クリングの愚かさは彼を攻撃的ならしめていた。彼はワグナーのうちに見出されるあらゆる欠点や滑稽《こっけい》な点を取り上げた。ワグナー崇拝者の方では、自分らの神にたいして彼がおかしな嫉妬《しっと》を感じてるゆえだと、思わずにはいなかった。クリストフの方では、ワグナーの死後になってそれに熱中してる連中は、ワグナーの生前にはそれをまっ先に絞め殺そうとしたに違いないということを、少しも疑わなかった。――この点においては、彼は彼らにたいして不正だった。クリングやラウベルのごとき者にも、やはり光ってた時代があったのである。二十年ばかり前には、彼らも先頭に立っていた。そ
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