コーカサスの禿鷹
豊島与志雄

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)禿鷹《はげたか》が

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)王様|然《ぜん》と

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)うむ そして[#「うむ そして」はママ]
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      一

 コーカサスに、一匹の大きな禿鷹《はげたか》がいました。仲間の者達と一緒に、高い山の頂《いただき》に住んで、小鳥を取って食べたり、麓《ふもと》の方へ下りてきて、死んだ獣《けもの》の肉をあさったりしていましたが、ある時ふと、ひょんな考えを起こしました。
「自分は仲間の誰よりも、体が大きく、力が強く、知恵もあるので、みんなから尊敬されている。そこで一つ奮発《ふんぱつ》して、みんなよりも立派な住居《すまい》をこしらえて、王様|然《ぜん》と構《かま》えこんでいなくちゃなるまい」
 そして彼はいろいろ考えた末、国中の一番高い山の頂に、立派な岩屋を探して、そこに住居を定めようとしました。
 ところがいよいよとなると、どれが国中で一番高い山か、さらに見当がつきませんでした。一番高そうな山の
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