をすまそう。二つに分けるんだ。お前は俺《おれ》の鍵《かぎ》を見たんだから、俺にも一つお前の金を見せなよ。」
 テナルディエは荒々しく、獰猛《どうもう》で、胸に一物あるらしく、多少|威嚇《いかく》するようなふうだったが、それでもごくなれなれしそうだった。
 不思議なことが一つあった。テナルディエの態度は単純ではなかった。まったく落ち着いてるような様子はなかった。平気なふうを装いながら、声を低めていた。時々口に指をあてては、しッ! とつぶやいた。その理由はどうも察し難かった。そこには彼らふたりのほかだれもいなかった。おそらく他に悪党どもがどこかあまり遠くない片すみに潜んでいて、テナルディエはそれらと仕事を分かちたくないと思ってるのだと、ジャン・ヴァルジャンは考えた。
 テナルディエは言った。
「話を片づけてしまおう。そいつは懐中にいくら持っていたんだ?」
 ジャン・ヴァルジャンは身体中方々さがした。
 読者の記憶するとおり、いつも金を身につけてるのは彼の習慣だった。臨機の策を講じなければならない陰惨な生活に定められてる彼は、金を用意しておくのを常則としていた。ところがこんどに限って無一物だ
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