狂気のごとく揺すったが、少しも動かなかった。鉄格子はびくともしなかった。弱い鉄棒を引きぬいて槓杆《てこ》とし扉《とびら》をこじあけるか錠前をこわすかするつもりで、彼は鉄棒を一本一本つかんだが、どれも小揺るぎさえしなかった。虎《とら》の牙《きば》もおよばないほど固く植わっていた。一つの槓杆もなく、一つの力になる物もなかった。障害は人力のおよぶべくもなかった。扉を開くべき方法は何もなかった。
それでは彼は、そこで終わらなければならなかったのか。どうしたらいいか。どうなるのか。引き返して、既に通ってきた恐ろしい道程を繰り返すには、その力がなかった。それにまた、ようやく奇跡のように脱してきたあの泥濘《でいねい》の孔《あな》を、どうして再び通ることができよう。更にその泥濘の後には、あの警官の巡邏隊《じゅんらたい》があるではないか。確かに二度とそれからのがれられるものではない。そしてまた、どこへ行ったらいいか。どの方向を取ったらいいか。傾斜について進んでも、目的を達せられるものではない。他の出口にたどりついた所で、必ずやそれも石の蓋《ふた》か鉄の格子かでふさがれているだろう。あらゆる口がそういう
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