刻Iわり])
靴屋《くつや》―― mon gniaf.([#ここから割り注]私の弟子[#ここで割り注終わり])
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みな隠語である。厳密にいえば、そしてどうしてもそうだとしたければ、単に左と右とについても次のような種々のいい方は皆隠語である。
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水夫―― 〔ba^bord, tribord.〕([#ここから割り注]左舷、右舷[#ここで割り注終わり])
劇場の道具方―― 〔co^te'−cour, co^te'−jardin.〕([#ここから割り注]右側、左側[#ここで割り注終わり])
寺男―― 〔co^te' de l'e'pi^tre, co^te' de l'e'vangile.〕([#ここから割り注]右方、左方[#ここで割り注終わり])
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また上流の才女らの隠語もあれば、賤しい洒落女《しゃれおんな》らの隠語もある。ランブーイエ夫人の仲間においても、クール・デ・ミラクル一郭の乞食女《こじきおんな》らの仲間においても、大した違いはない。公爵夫人らの間にも隠語があることは、王政復古頃のきわめて身分の高い美しい一婦人が書いた艶文《つやぶみ》中の一句が証明している。Vous trouvrez dans ces 〔potains−la`〕[#「〔potains−la`〕」に左傍線] une foultitude[#「foultitude」に左傍線] de raisons pour que je me libertise.[#「me libertise.」に左傍線]([#ここから割り注]あなたはそれらの陰口のうちに、私がもうお交わりを絶たなければならないという理由を沢山見い出さるるでありましょう。[#ここで割り注終わり])また外交上の符牒も隠語である。法皇の秘書官はこういう隠語を使っている。
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ローマ……26.
使節……grkztntgzyal.
モデナ公……abfxustgrnogrkzutu xi.
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中世の医者らが、人蔘《にんじん》や大根や蕪菁《かぶら》のことを、opoponach, perfroschinum, reptitalmus, dracatholicum angelorum, postmegorum などといっていたのも隠語である。正直な砂糖製造人らが
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