やっていた。それには何かきっと悪いことでもしてきた奴だろうと、僕はいつも思っていた。」
「客間」では特にその種の話でもちきっていた。
ドラポー[#「ドラポー」に傍点]・ブラン[#「ブラン」に傍点]紙の読者である一人の老婦人は、ほとんど測り得られないほど深い意味のこもった次のような考えを述べた。
「私は別にお気の毒とも思いませんよ。ブオナパルト派の人たちにはいい見せしめでしょう。」
かくのごとくして、マドレーヌ氏と呼ばれていた幻はモントルイュ・スュール・メールから消え失せてしまった。ただ全市中において三、四人の人々がその記憶を忠実に保っていた。彼に仕えていた門番の婆さんもそのうちの一人だった。
その日の晩、その忠実な婆さんは、なお心おびえながら悲しげに思い沈んで、門番部屋の中にすわっていた。工場は終日閉ざされ、正門は閂《かんぬき》がさされ、街路には人通りもなかった。家の中には、ファンティーヌの死体のそばで通夜をしてるペルペチューとサンプリスとの二人の修道女がいるばかりだった。
マドレーヌ氏がいつも帰って来る頃の時間になると、善良な門番の婆さんは機械的に立ち上がり、引き出しからマド
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