気が狂ったのではありません。今におわかりになるでしょう。あなたは非常な誤りを犯されようとしていたのです。この男を放免して下さい。私はただ自分の義務を果すのです。私が問題の罪人です。この事件を明確に見通せる者はただ私一人です。私はあなたに事実を語っています。今私のなすことは、天にいます神が見ていられる。それで十分である。私はここにいるから、あなたは私を捕縛されることができます。とはいえ、私は私の最善をなしてきたのです。私は違った名前のもとに身を穏した、富を得た、市長になった。私は正直なる人の列に再び加わろうと欲した。しかしそれはできないことのように思われる。要するに、私が今語ることのできないいろいろなことがある。ここに私は自分の一生を物語ろうとはしますまい。他日すべてわかるでしょう。私は司教閣下のものを盗んだ、それは事実です。私はプティー・ジェルヴェーのものを盗んだ、それも事実です。ジャン・ヴァルジャンなる者はあわれむべき悪漢であるというのは道理です。しかしおそらく罪は彼にのみあるのではありますまい。判事諸君、しばらく聞いていただきたい。私のように堕落したる人間は、天に対して不平を言う資
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