た。もちろんそれは王政復古後のことであるのはいうまでもないことである。
「ブルヴェー、」と裁判長は言った、「その方は賤《いや》しい刑を受けたる身であるから、宣誓をすることはできないが……。」
 ブルヴェーは目を伏せた。
「しかしながら、」と裁判長は続けた、「法律によって体面を汚された者のうちにも、神の慈悲によって、なお名誉と公正の感情はとどまり得る。今この大切なる時に当たって本官はその感情に訴えたい。なおその方のうちに、本官の希望するごとく、その感情があるならば、本官に答える前によく考えてみよ。一方には、その方の一言によって身の破滅をきたすかも知れない男があり、他方には、その方の一言によって公明になるかも知れない正義があるのだ。重大な場合である。誤解だと信ずるならばその方はいつでも前言を取り消してよろしい。――被告、起立せい。――ブルヴェー、よく被告を見、記憶をたどって、被告はその方の徒刑場の昔の仲間ジャン・ヴァルジャンであるとなお認むるかどうか、その方の魂と良心とをもって申し立ててみよ。」
 ブルヴェーは被告をながめた。それから法官の方へ向き直った。
「そうです、裁判長殿。最初に彼を
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