んあく》」を現わすものである。そして彼は、プティー・ジェルヴェーの事件はこれを保留しておき、厳刑を請求しながら弁論を終えた。
ここに厳刑というのは、読者の知るとおり、無期徒刑をさすのである。
弁護士はまた立ち上がって、まず「検事殿」にその「みごとなる弁舌」を祝し、次にできる限りの答弁を試みた。しかし彼の論鋒《ろんぽう》は鈍っていた。地盤は明らかに彼の足下にくずれかけていた。
十 否認の様式
弁論を終結すべき時はきた。裁判長は被告を起立さして、例のごとく尋ねた。「被告はなお何か申し開きをすることはないか。」
男は立ったまま手に持っているきたない帽子をひねくっていた。裁判長の言葉も聞こえぬらしかった。
裁判長は再び同じ問いをかけた。
こんどは男にも聞こえた。彼はその意味を了解したらしく、目がさめたというような身振りをし、周囲を見回し、公衆や憲兵や自分の弁護士や陪審員や法官らをながめ、腰掛けの前の木|柵《さく》の縁にその大きな拳《こぶし》を置き、なお見回して、突然検事の上に目を据えて語り初めた。それはあたかも爆発のごときものだった。その言葉は、支離滅裂で、急激で、互
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