う病気ではありませんわね。気が変なようですわ。よかったら踊ってもみせますわ。」
十五分も前の彼女の様子を見た者があったら、今のその様子に訳がわからなくなったであろう。彼女はもう美しい顔色をしていた。話す声も元気があり自然であって、顔にはいっぱい微笑をたたえていた。時々は低く独語しながら笑っていた。母親の喜びはほとんど子供の喜びと同じである。
「それで、」とサンプリス修道女は言った、「あなたはそのとおり仕合わせですから、私の言うことを聞いて、もう口をきいてはいけませんよ。」
ファンティーヌは頭を枕につけて、半ば口の中で言った。「そう、お寝《やす》みなさい、子供が来るんだからおとなしくしなければいけませんって、サンプリスさんのおっしゃるのは道理《もっとも》だわ。ここの人たちのおっしゃることは皆本当だわ。」
それから、身動きもせず、頭も動かさず、目を大きく見開いてうれしそうな様子で、彼女はあたりを見回し初めた。そしてもう何とも言わなかった。
サンプリス修道女は、彼女が眠るようにとその帷《とばり》をしめた。
七時と八時との間に医者がきた。何の物音も聞こえなかったので、彼はファンティー
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