二つは彼の心眼の前に大きくなってゆき、今では巨人のごとき姿となっていた。そして彼自身のうちにおいて、先ほど述べたあの無限のうちにおいて、暗黒と光明との間に、神と巨人との争うのを彼は見るように思った。
 彼は恐怖に満たされた。しかし善の考えが勝利を得るように見えた。
 彼は新たに自分の本心と運命との決定的時期に遭遇しているように感じた。司教は彼の新生涯の第一期を画し、あのシャンマティユーはその第二期を画しているように感じた。大危機の後に大試練がきたのである。
 そのうちにまた一時しずまっていた熱はしだいに襲ってきた。無数の考えが彼の脳裏を過ぎた。しかしそれはただ彼の決心をますます強固にするのみだった。
 ある瞬間には彼は自ら言った。「私はあまり事件を大袈裟《おおげさ》に考えすぎているのかも知れない。結局そのシャンマティユーなる者は大した者ではない。要するに彼は盗みをしたのだ。」
 彼は自ら答えた。「その男が果して林檎《りんご》をいくらか盗んだとしても、一カ月の監禁くらいのものだ。徒刑場にはいるのとはずいぶん差がある。そして彼が盗んだということもわかったものではない。証拠があったのか。ジャ
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