ちに一種の名状すべからざる震えが突然起こった。それは何人《なにびと》も生涯中に二、三度とは経験することのないものであって、内心の一種の痙攣《けいれん》と言おうか、心のうちの疑わしいすべてのものを揺り動かし、皮肉と喜悦と絶望より成るものであって、心内の哄笑《こうしょう》とも称し得べきものであった。
彼はまたにわかに蝋燭《ろうそく》をともした。
「で、それがどうしたというのだ!」と彼は自ら言った。「何に自分は恐れているのか? 何を自分はそんなに考えるのか? 私は助かったのだ。すべては済んだのだ。新しい自分の生涯に過去が闖入《ちんにゅう》してくる口は、わずか開いている一つの扉《とびら》があるきりだった。がその扉も今や閉ざされてしまった。永久に! 長く私の心を乱していたあのジャヴェル、私の素性をかぎ出したらしい、いや実際かぎ出していたるところ私の後をつけていたあの恐るべき本能、始終私につきまとっていたあの恐ろしい猟犬、彼ももはや道に迷いほかに行ってしまって、まったく私の足跡を見失ったのだ。その後彼は満足している。私を落ち着かせるだろう。彼は彼のジャン・ヴァルジャンを捕えているのだ! だれにわ
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