にその槌《つち》に手をかけて振り上げた。それからふいに手を休めて躊躇《ちゅうちょ》し、何か考えてるようだったが、やがて槌を強く打ちおろさないで、静かにそれを元に戻し、そして前と違って少し急ぎ足に道を進んでいった。
マドレーヌ氏が尋ねて行った時、スコーフレールは家にいて馬具を繕っていた。
「スコーフレール君、」と彼は尋ねた、「馬のよいのがあるかね。」
「市長さん、私どもの馬は皆ようがす。」とそのフランドル人は言った。「あなたがよい馬とおっしゃるのは一体どういうんです。」
「一日に二十里行ける馬なんだ。」
「なんですって!」とその男は言った、「二十里!」
「さよう。」
「箱馬車をつけてですか。」
「ああ。」
「それだけかけてから後はどのくらい休めます。」
「場合によっては翌日また出立しなければならないんだが。」
「同じ道程《みちのり》をですか。」
「さよう。」
「いやはや! 二十里ですな。」
マドレーヌ氏は鉛筆で数字を書きつけておいた紙片をポケットから取り出した。彼はそれをフランドル人に見せた。それには、五、六、八半という数字が書いてあった。
「このとおりだ。」と彼は言った。「総計十九
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