皆、軽蔑と反感と嫌悪《けんお》とをもって見ていた。彼は絶対的であって、いっさいの例外を認めなかった。一方では彼は言った、「職務を帯びてるものは誤ることはない、役人は決して不正なことをしないものだ。」他方ではまた彼は言った、「こいつらはもう救済の途はない、何らの善もなし得ない者だ。」世には極端な精神を有していて、刑罰をなすの権利あるいは言い換えれば刑罰を定めるの権利を人間の作った法則が持っているように信じ、社会の底に地獄の川スティックスを認める者がいる。ジャヴェルもまたそういう意見を多分に持っていた。彼は禁欲主義で、まじめで、厳格であった。憂鬱《ゆううつ》な夢想家であった。狂信家のように謙遜でまた傲慢《ごうまん》であった。彼の目は錐《きり》のごとく、冷たくそして鋭かった。彼の一生は二つの言葉につづめられる、監視と取り締まりと。彼は世間の曲りくねったものの中に直線を齎《もたら》した。彼は自己の有用をもって良心となし、自己の職務をもって宗教となしていた。彼の探偵たることはあたかも牧師たるがごとくであった。彼の手中に落ちたる者は不幸なるかなである。彼は父がもし脱獄したらんには父を捕縛し、母がも
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