ィエ夫婦は、やはりモントルイュ・スュール・メールにいる母親からの支払いが思わしくなくなり初めたので、またいっそうそんなふうに扱うのを至当と考えた。
数カ月間金が滞ったりした。
もしその母親が、それらの三カ年の後にモンフェルメイュに帰ってきたとしても、もう自分の子供を見分けることはできなかったろう。その家に到着した時にはあれほどかわゆく生き生きとしていたコゼットは、今はやせ衰えて青ざめていた。何ともいえない不安な様子をしていた。「陰険な子だ!」とテナルディエ夫婦は言っていた。
不正は彼女をひねくれた性質にし、不幸は彼女を醜くした。以前の面影とてはただ美しい目が残ってるのみだったが、それはかえって痛ましい思いを人に与えた、大きい目だったのでいっそう多くの悲しみがそのうちに見えるようだったから。
冬には、そのあわれな子供の姿はまったく痛々しかった。まだ六つにもならないのに、穴だらけの古い襤褸《ぼろ》を着て震えながら、赤くかじかんだ小さな手に大きな箒《ほうき》を持ち、大きい目に涙を浮かべて、日の出る前に往来を掃除していた。
その土地では彼女のことをアルーエット([#ここから割り注]訳
前へ
次へ
全639ページ中342ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
豊島 与志雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング