婦はいかなる人物であったか?
 ここでまずそれについて一言費やしておこう。そして後になってこの稿を完《まっと》うすることにしよう。
 この二人は、成り上がりの下等な人々と零落した知識ある人々とからできてる不純な階級に属するものであって、そういう階級の人々は、いわゆる中流社会といわゆる下層社会との中間に位し、後者の欠点の多少を有するとともにまた前者のほとんどすべての欠点を有し、労働者の寛大な発情もなければ中流民の正直な秩序をも知らないのである。
 彼ら二人は、もし或る焔が偶然その心を温むることがあるとしても、またたやすく凶悪になるごとき下賤《げせん》な性質の者であった。女のうちには野獣のような性根があり、男のうちには乞食《こじき》のような素質があった。二人とも、悪い方にかけてはどんなひどいことでもやり得る性質だった。世には蟹《かに》のごとき心の人がいる。常に暗やみの方へ退き、人生において前に進むというよりもむしろ後ろに退き、自分の不具をますます大ならしめることに経験を用い、絶えず悪くなってゆき、しだいにますます濃い暗黒に染まってゆく。二人は男女とも、そういう魂の者であった。
 亭主のテナ
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