くりした。
「変だわ!」と彼女は言った。「駅馬車は途中で止まるものでないと思っていたのに。」
 ファヴォリットは肩をそびやかした。
「ファンティーヌはほんとに人をびっくりさせるよ。おかしな人だこと。ごくつまらぬことにも目を見張るんだもの。かりにね、あたしが旅をするとするでしょう。駅馬車にこう言っておくとする、先に行ってるから通りがかりに河岸の所で乗せておくれって。するとその駅馬車が通りかかって、あたしを見て、止まって、乗せてくれるわ。毎日あることよ。あんたは世間を知らないのね。」
 そんなことをしているうちにしばらく時がたった。とにわかにファヴォリットは、目をさました[#「目をさました」は底本では「目がさました」]とでもいうような身振りをした。
「ところで、」と彼女は言った、「びっくりすることはまだかしら。」
「そうそう、」とダーリアは言った、「例のびっくりすることだったわね。」
「あの人たちは大変長いわね!」とファンティーヌは言った。
 ファンティーヌがそのため息をもらした時に、食事の時についていたボーイがはいってきた。何か手紙らしいものを手に持っていた。
「それなあに?」とファヴォ
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