かおりがなくてはいけない、婦人には機才がなくてはいけない([#ここから割り注]訳者注 ローザとは薔薇の意で、薔薇にはダリアと違って芳香がある[#ここで割り注終わり])。僕はファンティーヌについて一言も費やさなかったが、ファンティーヌこそは、夢想的な瞑想的な沈思的な敏感な女である。ニンフの姿と尼僧の貞節とをそなえた幻影であって、誤ってうわ気女工の生活のうちに迷い込んだが、しかし幻のうちに逃げ込み、歌を歌い、祈りをし、何を見何をしてるかを自ら知らずして蒼空をうちながめ、小鳥の多い空想の庭の中を空を仰ぎながらさ迷う女である。おおファンティーヌよ、このことを知れ、我トロミエスは一つの幻にすぎないことを。しかし彼女はこの言を耳にも入れない、空想の金髪の娘よ! 要するに彼女のうちにあるものは、新鮮、爽快《そうかい》、青春、朝の穏やかな光である。おおファンティーヌよ、汝はマルグリット(菊)もしくはペルル(真珠)の名にふさわしい娘で、最も光輝美しい女である。さて婦人諸君、ここに第二の忠告がある。曰《いわ》く、決して結婚するなかれ。結婚は一つの接木《つぎき》である。うまくもゆけば、まずくもゆく。そういう
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