ものは、内気と謙譲とのうちに消し難い表情であった。彼女はいくらかびっくりしたようなふうをしていた。その潔《きよ》いびっくりした様こそは、サイキーをヴィーナスと異ならしむる色合いである。彼女の真っ白な長い細い指は、金の留め金で聖火の灰をかきまわすという貞節を守る巫女《みこ》のそれのようだった。後《あと》で明らかにわかるとおり、彼女はトロミエスに対しては何事も拒まなかったけれども、その穏やかな平時の顔はまったく処女のようだった。まじめなそしてほとんどいかめしい一種の威厳が時々突如として現われた。そして快活さが急に消え失せて何ら推移の影を見せないで直ちに沈思の趣に変わってゆく様子は、まったく不思議な驚くべきことだった。その突然のそして時としては厳《いか》めしくきわ立って見えるまじめさは、女神の軽蔑《さげすみ》にも似ていた。額と鼻と※[#「丿+臣+頁」、第4水準2−92−28]《あご》とは、割合の平衡とはまったく異なる線の平衡を示していた。そしてそれによって顔立ちの調和が取れていた。また鼻の下と上脣《うわくちびる》との間のごく目につきやすい間隔のうちには、見えるか見えないかの魅力あるしわがあっ
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