中の着物をある日見て、そのためにその女を思うようになった。ファヴォリットはその間に生まれたのである。彼女は時々自分の父に出会ったが、父は彼女に丁寧な態度をとった。ある朝、信仰深そうな年寄った女が彼女の家にはいってきて、彼女に言った。「あんたは私がわかりませんか。」「わかりません。」「私はあんたの母親だよ。」それからその老婦人は、戸棚をあけて飲み食いし、自分のふとんを持ち込み、そこに腰を据えてしまった。その口やかましい信仰深い母親は、決してファヴォリットには口もきかず、一言も言わないで数時間じっとすわっていて、朝と昼と晩と三度の食事を驚くほどたくさん食い込み、そして門番のところへ話しにおりてゆき、そこで娘のことを悪口するのを常とした。
 ダーリアがリストリエの方へなびき、またおそらく他の種々な男の方へなびき、なまけてしまったのは、あまり美しすぎる薔薇《ばら》色の爪を持っていたからである。どうしてその美しい爪で働かれよう。貞節を守らんと欲する者はおのれの手をあわれんではならない。ゼフィーヌの方は、「そうよ、あんた、」と言う言葉つきに、ちょいと無遠慮な愛くるしいところがあったので、ファムイュ
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