負債のため入獄せる戸主解放のため…………………千リーヴル
管下教区の貧しき教員の手当補助…………………二千リーヴル
上アルプの備荒貯蔵所…………………………………百リーヴル
貧民女子無料教育のためのディーニュ、マノスク、および
 システロンの婦人会……………………………千五百リーヴル
貧しき人々のため……………………………………六千リーヴル
自家費用…………………………………………………千リーヴル
 合計……………………………………………一万五千リーヴル
           (訳者注 リーヴルはフランの同称)
[#ここで字下げ終わり]

 ミリエル氏はディーニュの司教だった間、この処置にほとんど少しの変更もなさなかった。覚え書きに見らるるとおり彼はそれをわが家の支出規定[#「わが家の支出規定」に傍点]と呼んでいた。
 バティスティーヌ嬢もこの処置に絶対に服従していた。この聖《きよ》き嬢にとっては、ディーニュ司教は同時に自分の兄であり自分の司教であった、自然からいえば親しい友で、教会からいえば教長だった。彼女はただ単純に彼を愛し彼を崇敬していた。彼が口をきく時にはそれに承服し、彼が行動
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