裏一体をなす。もとより、それのどちらが表とも裏ともつかない一体だ。そしてどこから突っついても、突っつかれたと感ずる時には、心平さんは徹夜してでも談論風発する。或は詩を作る。
これを、自然と人事と言い換えようか。詩集「大白道」に次のような「序詩」がある。本書(草野心平詩集)に採録しなかったから、少し長いがここに引用しておこう。
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自然と人間のなかにはいると。
そのまんなかにはいってゆくと。
かなしい湖が一つあります。
その湖がおのずから沸き。
怒りやよろこびに波うつとき。
かなしみうずき爆破するとき。
わたくしに詩は生れます。
日本の流れのなかにいて。
自然と人間の大渾沌のまんなかから。
わたくしは世界の歴史を見ます。
湖の底に停車場があり。
わたくしは地下鉄にのって方々にゆき。
また湖の底にかえってきます。
なきながら歌いながら。
また歌いながらなきながら。
つきない時間のなかにいます。
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詩を作る時のきびしさが、ここにある。詩人のきびしさが、ここにある。だが、心平さんにとっては、このきびしさが辛くはなくて楽しいのだ。泣くのも歌うの
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