のでした。『自分の前にはこんなに贅沢な朝飯がある。それでいて、何一つ食べられるものはないのだ!』
今では相当厄介な気がして来た、何でも金にしてしまう力も、大急行で食べれば、避けられるかも知れないと思って、マイダス王は、今度は熱《あつ》い馬鈴薯をつかんで、口の中へ押込み、それを急いでのみ込もうとしました。しかし、触れたものをたちまち金にしてしまう力の速さにはかないませんでした。彼の口は、粉を吹いた馬鈴薯じゃない、こちこちの金の薯《いも》で一杯でした。それがまた彼の舌を焼いたので、彼は大声でうなって、食卓から跳び上って、痛さとびっくりとで、踊ったり、どたばたと足を踏み鳴らしたりして、部屋の中を飛び廻り始めました。
『お父さま、ねえお父さま!』と孝行者の小さなメアリゴウルドは叫びました、『一体どうなさったの? お口が熱《あつ》かったの?』
『ああ、可愛い姫よ、』マイダスは悲しそうにうなりながら言いました、『お前のお父さんはどうなってしまうか分らないよ!』
本当に君達、生れてからこんななさけない話って聞いたことがありますか? 王様の前に供えることの出来る、文字通りこの上なしの金目《かねめ》
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