でが、その人がにっこりと笑うと、まるで焔《ほのお》や火花に照らされたように、ぱっと明るくなるのでした。
マイダスは錠前の鍵をちゃんと下しておいたこと、それから人間の力ではとてもこの宝の庫に侵入することが出来ないことを知っていましたので、勿論、この人は人間以上の何者かに違いないと判断しました。その人は誰だったかということは、別にここで言わなくてもいいでしょう。まだ地球が比較的新しい物だったその頃には、男や女や子供達の喜びや悲しみに、半分は冗談に、半分は真面目に、興味を持った、超自然な力を具《そな》えた、神様みたいな人が、よくやって来たらしいのです。マイダスは前にもそんな人に出会ったことがあるので、またやって来られて困ったとは思いませんでした。実際、その見知らぬ人の様子は、慈悲深いとは云えないまでも、たいへん愛想がよく、やさしそうなので、何か悪いたくらみがあって来たのではないかと疑ったりすることは間違っているような気がしました。それよりもずっと、マイダスに好意を持って来てくれたらしい気がしました。とすれば、彼の宝の山をもっと大きくしてやろうという以外に、好意はない筈じゃないかしら?
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