ングルウッドの玄関
――話のあとで――
『大変面白いお話じゃなかった?』とユースタスは訊いた。
『ええええ、面白いお話だったわ!』とカウスリップは手をたたいて叫んだ。『そしてあの、仲間で目が一つしかない、おかしなおばあさん達なんて! あたしそんな不思議なことって今まで聞いたことがないわ。』
『でも、そのおばあさん達がやりとりしていた一本の歯のことなら、』とプリムロウズが言い出した、『別に驚くほどのことはないわ。それは義歯《いれば》だったのよ。しかし、にいさんはマーキュリをクイックシルヴァにしてしまったり、また彼の姉妹の話を入れたりなんかして! あんまりおかしいじゃないの!』
『じゃ、あれは姉妹じゃなかったのかね?』とユースタス・ブライトは訊いた。『僕それに早く気がついていたら、彼女を梟なんか可愛がって飼ってるようなお嬢さんに仕立てるんだったなあ!』
『あら、それでも、あなたのお話で霧が晴れちゃったらしいわ、』とプリムロウズは言った。
実際、その話がつづけられているうちに、野山から霧はすっかり消え去っていた。彼等の前に繰りひろげられた景色は、この前に見た時と方角一つ違っ
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