へん物見高いということをよく知っていました。そこで彼は若者の意見を容《い》れて、四方にお触役《ふれやく》や使者を送って、街角や市場や、また至る処の四辻で喇叭《らっぱ》を吹かせて、人民を全部宮廷に呼び集めました。そこで、やくざな浮浪者の大群が宮廷さして集まって来ましたが、彼等はみんな、ただ他人《ひと》の不幸をよろこぶ心から、パーシウスがもしもゴーゴン達との勝負で何かひどい目に遇っていたら、うれしがったような人間ばかりでした。もしその島にもっといい人達がいたとしたら(この話にはそんな人達のことはちっとも出て来ないけれども、僕はそんな人もいただろうと本当に思うのですが)、彼等は静かに家に残って、自分の仕事にいそしんだり、子供達の面倒を見たりしていたでしょう。それはとにかく、人民の大部分は一目散に王宮へ駆けつけて、露台《バルコニ》へ近づこうとして夢中になって、互に突飛ばしたり、押したり、かき分けたりし合いました。露台にはパーシウスが現れて、縫取りをした袋を手に持っていました。
露台が一杯に見える一段高くなった所には、半円形にずらりと列《なら》んだ、悪い顧問官達や、おべっか使いの廷臣達にかこま
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