ダネイと小さなパーシウスとが箱に入れられて流されて来たのを見て最初に彼等二人をいたわってくれたあの漁師とだけが、この島では正しいことをしようと心がけている人達のようでした。そのほかの人達は、ポリデクティーズ王に限らず、みんな行《おこな》いが悪くてちょうどこれから起ろうとするような目に遇うのがあたりまえでした。
 お母さんが家に見えないので、パーシウスはまっすぐに王宮へ行きました。そしてすぐに王様の前へ通されました。ポリデクティーズは彼に会うことをちっとも喜んでいませんでした。というのは、彼は意地悪い心の中で、ゴーゴン達が哀れなパーシウスをずたずたに引裂いて、彼の邪魔にならないように、呑んでしまってくれたものとばかり思っていたからでした。ところが、彼がけろり[#「けろり」に傍点]として帰って来たので、王様はそれに対して出来るだけいやな顔を見せないようにして、パーシウスがどんな風にして成功したかを尋ねました。
『お前は約束を果したかね?』と王様は訊きました。『お前は蛇の髪をしたメヅサの首を持って帰ったかね? でないと、お前、ひどい目に遇うぞよ。わしは、美しいヒポデイミヤ姫に対する婚礼の贈物
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