く飛んでいる鳥が、もしも彼等の中へスリッパが飛び込んで来たのを見たりしちゃ、びっくりするじゃないか。』
 パーシウスがこの不思議なスリッパを両方共はいてしまった時には、あんまり身が軽くなって、土を踏むことも出来ませんでした。一足《ひとあし》二足《ふたあし》歩いて見ると、これはまたどうでしょう! 彼はクイックシルヴァやニンフ達の頭よりも高く、ぽんと跳び上ってしまって、再び下りて来るのに大変骨が折れました。翼の生えたスリッパとか、すべてこういう高く飛ぶ仕掛などというものは、誰でもそれに幾らか慣《な》れるまでは、なかなか取扱いが容易なものではありません。クイックシルヴァはパーシウスの、自分ではどうすることもできない活発さを面白がりました。そして、まあそう滅茶《めちゃ》に急がないで、隠兜《かくれかぶと》を待っていなくちゃいけないよ、と言いました。
 やさしいニンフ達は、波打った羽毛《はね》の黒い総《ふさ》のついた兜を、いつでもパーシウスの頭にかぶらせることが出来るように、用意していました。そしてこの時、僕が今まで君達に話したどんなことよりも不思議なことが起ったのです。その兜をかぶせられるすぐ前
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