した。そしてクイックシルヴァがパーシウスの引受けた冒険の話をすると、彼等は自分達が預っている大事な品々をパーシウスに渡すについても、少しも面倒なことは言いませんでした。第一に彼等は、鹿皮で出来ていて、変った縫取りをした、小さな財布のような物を取り出して来て、パーシウスに必ずそれを大切にするように言いました。これが魔法の袋でした。次に、ニンフ達は、踵に一対の可愛い小さな翼《はね》のついた短靴みたいな、スリッパみたな、草鞋《サンダル》みたいな物を取り出しました。
『パーシウス、履《は》いてごらん、』とクイックシルヴァが言いました。『これから先の道中、君はいくらでも望み通り足が軽くなるだろう。』
 そこでパーシウスは、他の方を彼の傍の地面においたまま、一方のスリッパを履きにかかりました。とこが、出抜《だしぬけ》に地面においた方のスリッパが、翼をひろげて、地上から舞上りました。そして、もしもクイックシルヴァが跳び上って、うまくそれを空中でつかまえなかったならば、恐らくどこかへ飛んで行ってしまったかも知れません。
『もっと気をつけたまえ、』彼はそれをパーシウスに返してやりながら言いました。『空高
前へ 次へ
全307ページ中48ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
ホーソーン ナサニエル の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング