の遊んでいる、広い、街路樹の植わった通りや、それから商売をしたり、楽しく遊んだりして、立派に暮らしているらしい様子などがいろいろ見えていた谷の方に振り向きました。ところが、彼等はどんなに驚いたことでしょう。いつのまにか、村らしいものはまるで無くなっているではありませんか! 村がその底の方にあった、ゆたかな谷さえも、なくなってしまっていました。その代りに、彼等は湖の、広い、青い水面を見ました。それは大きな鉢のようになった谷の端から端まで満たして、まるで世のはじめからそこにあったかのように、まわりの山々の静かな姿を、その中にうつしていました。ちょっとの間、湖は少しの波も立てないで静まり返っていました。それから、風が少し出て来て、水を朝日影に踊らせ、光らせ、かがやかして、さらさらと快い音を立てて、こちらの岸にぶっつけました。
その湖は、妙に見なれたもののような感じがするので、老人夫婦はまったく狐につままれたようで、そこに村があったというのは夢に過ぎなかったかのような気がしました。しかし、次の瞬間には、彼等は無くなってしまった民家や、そこに住んでいた人の顔や性質を、夢にしてはあまりにはっきり
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