です。というのは、これらの恐しいゴーゴン達の何よりこわいところは、もしわれわれ無力な人間が、彼等の顔をまともに見つめでもしようものなら、間違いなく、温い肉と血とが、たちまち冷たい、死んだ石になってしまうということでした。
だから、君達にもすぐ分る通り、悪い王様ポリデクティーズが、この罪もない若者のために考え出したことは、とてもあぶない冒険だったのです。パーシウス自身も、そのことをよく考えてみると、彼がそれを無事に切り抜けて来るという見込みはほとんど立たず、蛇の髪をしたメヅサの首を持って帰って来るよりも、寧《むし》ろ石仏になってしまう心配の方が、ずっと多そうな気がしないではいられませんでした。というのは、他のいろんな困難は言うに及ばず、ここに、パーシウスよりも年取った人でも、それをどう突破していいか分らなくなってしまうような困難が一つあったからです。彼は単にこの金の翼、鉄のうろこ、長い牙、真鍮の爪、蛇の髪などを有《も》った怪物と闘《たたか》わなければならないというだけではなく、目を閉じたままか、或は少なくとも、現に闘っている相手を殆《ほとん》どちらっと見ることもしないで斃《たお》さなけ
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