ちの木からですよ、』とフィリーモンは答えました。『その枝の一つが、向うの窓をくねくねと横切っているのが見えるでしょう。しかし、うちの家内もわしも、この葡萄をうまいなんて思ったことはないんですが。』
『僕はこんなうまいのをたべたことはありませんね、』とそのお客は言いました。『よかったら、このおいしい牛乳をもう一杯下さい。そうすれば、僕はもう殿様以上の夕飯をたべたことになるでしょう。』
 今度はフィリーモン爺さんが立上って、壺を取り上げました。というのは、彼はボーシス婆さんが彼に小声で話して聞かせた不思議なことが、一体本当なのかどうか知り度《た》くなったからでした。彼は自分の年取った妻が嘘《うそ》のつける人間ではないということ、そして、彼女が本当らしいと思ったことで間違っていたためしは殆どないということを知っていました。それにしても、これはまたあまりに不思議なことなので、彼は自分の目で、それを突き止めてみたいと思ったのでした。だから、彼は壺を手に取った時、こっそりと中をのぞいて見て、一滴だってはいっていなかったので、すっかり得心しました。ところが、たちまち壺の底から、小さな白い泉がもくもく
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