るのをたしなみと心得ているとみえて、赤いというよりも蒼ざめた色に見えた。また、野生のゼラニウムや、沢山の白い苺の花も咲いていた。岩梨もまだ花時を過ぎてはいなかったが、その大切な花を、母鳥が小さな雛を大事に羽根の下にかくすように、林の去年の落葉の下にかくしていた。それは大方、自分の花がどんなに美しく、またいい匂いがするかを知っていたのであろう。それはあまりうまくかくれていたので、子供達はどこから匂って来るのか分らないうちから、その何ともいえない、いい匂いを嗅ぐことさえ時々あった。
 こんなに沢山の新しい生命のある中に、野原や牧場のあちこちで、もう種になってしまったたんぽぽの白い鬘《かつら》を見ると、何だか変でもあり、ひどくいたましい気もするのであった。それらは夏の来ないうちに夏を済ませてしまったようなものだ。それらの、羽根の生えた種で出来た小さな球《たま》の中だけは、もう秋になっているのだった!
 それはさておき、われわれは春と野の花草とについてこれ以上おしゃべりをして、貴重な頁を無駄にしてはならない。何かもっと面白い話題がありそうなものだ。もしも読者が子供達の群《むれ》に目をやったなら
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