が眠っている間は、あとの五十が見張りをしているという話なんですから。
 僕なんかから見ると、中まで金の林檎だからといって、それほどの危険をおかす値打はなさそうに思います。それがまた、実においしい、やわらかい、おつゆのたっぷりある林檎だったら、話は別です。その時には、たとえ百の頭を有《も》った竜がいたところで、それを取ろうとすることは、多少の意味があったかも知れません。
 しかし、前に言った通り、あまり長い平和と休息にあきて来ると、ヘスペリディーズの庭を捜しに行くということが、青年達には全く普通のことだったのです。そして或《ある》時、この冒険が一人の勇士によって企てられましたが、この勇士と来ては、この世へ出てから、ほとんど平和や休息を味わったことのないような荒武者でした。ちょうど僕がこれから話をしようと思っている頃のことでしたが、彼はとても大きな棍棒を手に持ち、弓と箭筒《やづつ》とを肩にかけて、気持のいいイタリーの国中を旅して歩いていました。彼はこれまでに現れたこともないような、大きな、はげしい獅子を自分で退治て、その皮をはいで着ていました。そして、大体に於て、彼は親切で、度量があって、
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