ンが待ちに待っている間というものは、いやになってしまうほど長く、そして気がもめました。彼はカイミアラから逃げ出したという風に、アイオバティーズ王に思われはしないかと心配しました。また彼は、カイミアラと闘いもしないで、きれいなピリーニの泉の水がきらきらした砂の中から湧き出して来るのを、こうして仕方なしにぼんやりと眺めている間に、あの怪物がどれほど多くの害をしているかを考えると、心苦しくなりました。そして、ペガッサスは、近年ではこっちへ出て来ることは稀で、人の一生の間に一度くらいしかおりて来ないので、ビレラフォンは、その翼のある馬が現れるまでに、彼はおじいさんになってしまって、腕の力も心の勇気もなくなってしまうのではないかと心配しました。おう、一人の冒険的な青年が、この世に生れて来た役目を果して、世界に名を挙げる日を待ちこがれているのに、なんと時間はのろくさくたって行くのでしょう! 待つということは、何というつらい教訓でしょう! われわれの一生は短い、それなのに、ただそれだけのことをわれわれに教えるために、何と長い時間をとるのでしょう!
 あのおとなしい子供が、彼にすっかりなついてしまって、少しも厭きることなく彼の傍についていてくれたのは、ビレラフォンにとって仕合せでした。毎朝その子供は、彼の胸の昨日の希望が凋《しぼ》んだあとへ、新しい希望を与えてくれました。
『ビレラフォン兄さん、』彼の顔を、希望に満ちて見上げながら、その子はいつも叫ぶのでした、『僕達、今日はペガッサスを見そうな気がするよ!』
 そして、もしもこの小さな男の子の、ぐらつくことのない信念がなかったら、ビレラフォンはおしまいに希望をすっかり捨ててしまって、リシアへ帰って、翼のある馬の力を借りないで、一生けんめいカイミアラを倒そうとしていたかも知れません。そして、その場合には、気の毒なビレラフォンは、少なくとも、その怪物の息吹《いぶき》でひどい火傷《やけど》をして、その上十中八九までは、殺されて、食われてしまっていたことでしょう。何人《なにびと》も、まず天馬の背に跨がることが出来なければ、地に生れたカイミアラと闘おうとしてはならないのでした。
 或る朝、例の子供は、いつもよりも一層希望に満ちて、ビレラフォンに言いました。
『大好きなビレラフォン兄さん、』と彼は叫びました、『僕なぜだか知らないけれど、今日こそ
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