ば、彼等がみんなでユースタスを取巻いて集まっているのを見るだろう。彼は木の切株に腰かけて、ちょうどこれから何か話を始めるところらしい。実は、子供達のうちの小さい方の連中には、この丘の長い登り道が、彼等の小さい股ではとてものぼり切れないということが分ったのだ。だから、従兄ユースタスは、ほかの連中が頂上まで行って帰ってくるまで、登り道の中程にあたるこの辺のところに、スウィート・ファーンとカウスリップとスクォッシュ・ブロッサムとダンデライアンとを残しておくことにきめたのだ。しかし、彼等が不平を言って、あまりあとに残りたがらないので、彼はポケットからいくつかの林檎を出して来て、彼等にくれてやり、その上、彼等に大変いい話を聞かせてやろうと言って見た。すると彼等は機嫌をなおして、泣面《なきつら》が大にこにこに変ってしまった。
その話のことなら、わたしはその辺の藪のかげにいて、それを聞いたので、次の頁からまた、それを読者にお伝えしようと思う。
[#改ページ]
不思議の壺
ずっと昔の或る夕方のこと、フィリーモン爺さんと、そのおかみさんのボーシス婆さんとが、彼等の小さなお家《うち》の戸口に坐って、静かな、美しい日暮時《ひぐれどき》を楽しんでいました。彼等はもう、つましい夕飯もすんで、寝るまでの一二時間を、静かに過ごそうというのでした。そんなわけで、彼等は家の庭のことや、乳牛のことや、蜜蜂のことや、葡萄の木のことなどを語りあいました。葡萄の木はお家の壁一杯に這っていて、葡萄が紫色になりかけていました。しかし、すぐ近くの村で聞える子供達の乱暴な叫び声と、はげしく吠える犬の声とが、だんだん高くなって来て、とうとうおしまいに、ボーシスとフィリーモンとは、お互の言ってることが、ほとんど聞き取れないくらいになってしまいました。
『ああ、婆さん、』とフィリーモンは叫びました、『誰か気の毒な旅人が、向うの村で宿を乞うているのに、御飯をたべさしたり、宿を貸したりするどころか、村人達はまたいつものように、犬をけしかけたりしているんじゃないかなあ!』
『ほんとにねえ!』とボーシスは答えました、『村の人達が、も少し他人様に親切な気持になってくれるといいのにねえ。それにまあ、子供達をあんな悪い育て方をして、よその人に石を投げつけると頭をなでてやるというわけなんだからねえ!』
『あの子供達は、決
前へ
次へ
全154ページ中106ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ホーソーン ナサニエル の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング